外貨建て債券の選び方のポイントは?既発債と新発債のどちらを買ったらよいのか。
債券には、新しく発行される新発債(しんぱつさい)と、既に発行され、債券市場で売買されている既発債(きはつさい)とがあります。
新発債を購入する場合は、手数料が一切かかりません。つまり、最低購入単位が額面1万ドルなら、それに相当する円資金で買うことができます。仮にIドル=80円なら、80万円で買えるのです。ただし、円を外貨に替える際には為替
手数料がかかりますので、それは購入する人が負担しなければなりません。
これに対して既発債の場合は、市場を通じて購入する際にコストがかかります。ただし、手数料のように、購入金額に対して何%というように一定率の手数料が取られるのではなく、コストが販売価格に織り込まれているのです。たとえば、購入時の価格が100.50だとすると、売却時の価格100.20というように、常に売り買いの債券価格に一定の価格差(スプレッド)があるのです。この価格差が、既発債を売買する際に投資家が負担するコストになります。
ただし、このコストは基本的にあまり公開されていません。既発債の販売価格をはじめとする条件は、証券会社のホームページに掲載されていますが、基本的に販売価格が記載されているだけで、売却価格は掲載されていないのです。したがって、既発債を購入する際のコストは、実際に債券を売買する個人投資家には、わからないようになっています。
それなら、コストの安い新発債を買ったほうがよいのかということですが、これがまた一概にそうともいえない面があります。
これからFXを始める投資家に読んでほしいサイト。外国為替市場では為替変動、金利変動のリスクがあるのでFX初心者の方は気をつけたほうがいいでしょう。
米国国債などメジャーなものは新発債として買えないことが難点
というのも新発債の場合、米国国債のような、外貨建て債券を代表するような銘柄を扱っている証券会社がないのです。
新発債として購入できるのは、国際復興開発銀行やアジア開発銀行といった国際機関が発行するものが中心になります。この手の債券は、債券市場での流動性が低いため、いざ償還期日前に売却しようとすると、証券会社に安く買い叩かれてしまうリスクがあります。つまり、安く買われてしまう分だけ、それがコストの代わりになってしまうのです。
あるいは、デュアルカレンシー債といって、非常に特殊な仕組みを用いた債券として発行されるケースも少なくありません。デュアルカレンシー債というのは、円で購入し、償還までのあいだに支払われる利金が円建てになり、償還金のみが外貨建てになるというものです。
最近は、これに償還特約条項が付けられており、償還期日前の一定期間中、為替レートがあらかじめ決められた一定水準以上に円高が進まなければ、償還金も円建てで支払われるという複雑なタイプも増えてきました。このように、償還特約条項が付けられている債券になると、債券市場における流動性がさらに低くなり、償還前に売却する際の条件がますます悪化してしまう恐れがあります。
つまり、新発債を購入するのであれば、償還を迎えるまで保有し続けるということを前提にする必要があります。そうすれば、コストもかからず、証券会社に安く買い叩かれる心配もなくなります。
したがって、償還前に売却する可能性もあるという場合には、既発債を買ったほうがよいでしょう。証券会社のホームページに掲載されている既発債の一覧を見ると、どのような銘柄を買うことができるのかが、一目でわかります。銘柄を見るとわかりますが、米国国債やドイツ国債など、メジャーな銘柄がたくさん取り扱われています。このラインナップのなかから、自分が保有できる期間に合わせて、購入する銘柄を選べばよいのです。